
「いつ来るかわからない地震にマイホームが耐えられるか心配。」
「木造の家だけど、耐震性に不安がある。」
という人は多いのではないでしょうか。
〜記憶に残っている震度7を超える地震〜
1995年 阪神淡路大震災
2004年 新潟県中越地震
2011年 東日本大震災
2016年 熊本地震
2018年 胆振東部地震
このように、震度7を超える地震が続いていますよね。
震度3〜4を超える地震となると、数えきれないほどです。
地震大国日本に住んでいる限り、マイホームの耐震性は心配になりますよね。
家の耐震補強には様々な種類があり、特に木造住宅は、家の構造や地盤など全体のバランスを考慮する必要があるんです。
そこで今回の記事では、木造住宅を補強し耐震性を上げるために、
・木造住宅の耐震補強とは
・耐震補強が必要な住宅
・木造住宅の耐震補強の種類
・木造住宅の耐震補強の価格
・耐震補強工事の流れ
・木造住宅の耐震補強をするには…
・木造住宅の耐震補強のポイント4つ
以上をまとめてみました。
最後まで読んで、是非参考にしてみてくださいね。
1.木造住宅の耐震補強とは
まず、日本の住宅には、「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート構造」の3種類があります。
この3種類の中でも、昔ながらの建築方法が「木造」です。
1981年5月に耐震基準改定が行われましたが、この改定以前の耐震基準では、建物が半壊する程度の耐震性であれば家を建てることが認められていました。
この耐震基準の改定後は、家が倒壊しないという基準に変更されました。
木造住宅は、この基準改訂以前に建てられた住宅が非常に多いため、地震が多く発生する日本では耐震対策が必要になってきます。
1981年5月以前に建てられている建物で、腐食が進んでいる、過去に地震の被害を受けて破損している箇所がある場合などは耐震補強を検討しましょう。
耐震補強とは、いくつか種類がありますが、既存の住宅に新しく柱や壁を追加したり、屋根を軽くしたりなどをし、万が一大地震が起きても住宅が倒壊するのを防ぐ対策のことを言います。
1-1.耐震性とは
耐震性とは、建築物や土木構造物などが地震によって損壊しない性質のことをいいます。
特に、建築物そのものの強度のことで、地震などの自然災害で建築物が倒壊しないようにするための工事は「耐震工事」と呼ばれています。
耐震性において、建物の重さは非常に重要な要素です。
地震のエネルギーは、建物の重さに比例して大きくなりますので、建物が重いほど地震によって大きく揺れることになるんです。
日本の住宅には「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート構造」の3種類がありますが、この中では木造住宅が1番軽いため、実は最も揺れがなく、地震による被害も1番少ないんです。
木造住宅の耐震性は、2階建てまでは壁量計算によって決まりますが、3階建て以上になると他の構造建築と同じ、構造計算で決まります。
この計算にはこれから説明する項目が非常に重要になってきます。
1-1-1.基礎
基礎は、建物を支える1番重要なものです。
1階の柱や壁の下に沿うように配置されています。
木造住宅では、「布基礎」と「べた基礎」といわれる2種類の方法が一般的です。
どちらも十分な強度を持たせるためには、配筋の量や間隔、コンクリートの強度を設計通りに工事することが重要になってきます。
1-1-2.建物の重さ
地震のエネルギーは建物の重さと比例して大きくなりますので、建物自体の重さが軽い方が重い場合と比べて、被害は少なくなります。
木造住宅では、建物の重さは外壁の仕上げ材や屋根材が大きく関わってきます。
なるべく重さを軽くするためには、外壁を軽量なサイディングで仕上げたり、屋根を軽量の瓦などを選ぶといいですよ。
1-1-3.壁
木造住宅において、壁は基礎と同じくらい重要な要素です。
現在建てられている木造住宅では、耐震壁という地震エネルギーを吸収するような動きをする壁を採用していることがほとんどです。
バランス良く耐震壁を配置することによって、地震に強い木造住宅にすることができます。
1-1-4.地盤
よく、家を建てるのに、土地を探す場合や建売を購入する場合など、「地盤はしっかりしているのか」と言いますよね。
家を建てる前に地盤を調べることは、今や当たり前になってきています。
建物の耐震性が高くても、地盤が緩くては地震による被害は免れないでしょう。
すでに住んでいる住宅の地盤が緩い場合は、早急に地盤補強をすることをおすすめします。
1-1-5.直下率
直下率とは、2階の壁の真下に1階の壁がある率のことです。
直下率を高めるということは、2階の重さをしっかり1階で支えることができていれば耐震性は向上します。
実際に、過去に起きた大地震ではこの直下率が家屋の倒壊に大きく関わっていたといわれています。
最近では、LDKの間取りを広くし、開放感のある空間が好まれることが多いですが、1階に壁が少なくなるこの間取りでは、2階を支える壁が少ないということになります。
建築基準に反していなければ問題はありませんが、気になる人は1階と2階の平面図を重ねて見てみてください。
重なる壁が少ないと感じた場合は、耐震診断を行うことをおすすめします。
1-1-6.金物
木造住宅では、多くの金物が使われています。
この金物とは、木材同士を繋ぐための補強や、基礎と骨組みを繋ぐ大切な役割のあるものです。
適した場所に、適した種類の金物を取り付けることで、木造住宅の耐震性は適切に保たれます。
2.耐震補強が必要な住宅
耐震補強が必要な住宅は、
・1985年5月以前に建てられた木造住宅
・床下等にシロアリなどの被害がある住宅
・1階の壁が少ない住宅
・開口部分が多く、ガラス面が大きい住宅
以上の住宅は、いつ来るかわからない地震の被害からマイホームを守るためにも耐震診断を受けることをおすすめします。
耐震診断は、耐震診断の実績がある施工会社やリフォーム会社に依頼できます。
施工会社やリフォーム会社に耐震診断を依頼した場合、実際に耐震工事を行った場合にいくらかかるのか見積もりをお願いすることができる場合もありますよ。
自分で行う場合は、「一般財団法人日本建築防災協会」のホームページや、「国土交通省住宅局」監修の誰でもできるわが家の耐震診断でも簡単にチェックすることができます。
お住まいの地域によっては、耐震診断に補助金を出してくれる自治体もありますので事前に確認しておきましょう。
3.木造住宅の耐震補強の種類
マイホームの耐震性を確認した後に、耐震補強が必要だと診断結果が出た場合は、安全確保のために耐震補強の工事を検討しましょう。
耐震補強の工事には、いくつか種類があります。
3-1.耐力壁の設置工事
耐震性を向上させるためには、壁自体が柱のように建物を支えていることが重要です。
既存の壁を耐力壁に交換することで耐震性を向上することができるため、多くの耐震補強工事で利用されています。
3-2.屋根の軽量化工事
屋根の軽量化工事では、住宅の1番上に乗っかっている屋根を軽量化することで基礎にかかる負担を減らすことができます。
屋根の軽量化工事では、屋根材を軽くずれにくい防災瓦に交換したり、軽くて金属瓦に交換する方法が一般的です。
屋根を軽量化することで、基礎にかかる負担を減らすだけでなく、屋根材の落下防止、地震の際に屋根材がずれて雨漏りの原因になるのを防止する効果があります。
3-3.筋交いや金物の追加工事
筋交いや金物の追加工事では、柱と柱の間に新しい木材を追加し、金具で固定することによって横方向の揺れに対する補強をすることができます。
横揺れに対して不足している補強をすることで建物の倒壊を防ぐことができます。
3-4.柱の入れ替え工事
梁をジャッキなどで持ち上げ、柱を撤去し、新しい柱と交換する工事です。
旧耐震基準(1985年5月以前)で建てられた住宅は柱が足りない場合があるため、その場合は、壁を剥がし、柱を追加する工事を行います。
3-5.外壁の補強工事
外壁の補強工事では、内側の壁と同じく壁材を撤去して耐力壁や筋交いを追加する場合と、既存の壁に追加する場合があります。
外壁の補強では内壁の補強とは違い、建物を囲うようにすることができるため、補強を効果的に行うことができます。
4.木造住宅の耐震補強の価格相場
住宅の耐震補強工事をする際に一度に全部を工事しようとすると費用が高額になってしまいます。
ですので、コストパフォーマンスを考えて優先順位をつけることが重要です。
4-1.耐震補強の優先順位
住宅の耐震補強工事の優先順位としては、
・屋根の軽量化工事
・柱の入替工事
・耐力壁の設置工事
・筋交いや金物の追加工事
・外壁の補強工事
・基礎の追加、補強工事
上から順番に費用効果が高くなっています。
金物の交換や追加は比較的費用を抑えて耐震補強をすることができますが、費用を抑えた工事では十分な耐震性を保てないことがあります。
必要な工事はどのような工事なのか、どれくらいの工事が必要なのか、しっかり検討しましょう。
4-2.耐震補強の価格相場
耐震補強の価格相場は10万円〜数千万円と価格差が大きいです。
一般的な耐震補強工事では、150万円ほどの価格帯が1番多いようです。
旧耐震基準で建てられた木造住宅は、必要となる工事の種類が多く、高額になるケースが多いようです。
経済的な負担を減らすためにも、しっかりと耐震診断を受け、耐震補強のプロに相談しましょう。
5.耐震補強工事の流れ
ここからは、耐震補強工事の実際の工事の流れをご紹介していきます。
5-1.耐震補強工事の流れ
①簡易診断(自分で診断)
②一般診断
③精密診断
④耐震補強の方法を検討
⑤耐震補強の見積もり作成・検討
⑥契約
⑦耐震補強工事開始
①簡易診断は、自分で行う簡易的な診断ですが、まず最初にこれを行うことで、その後専門家による診断が必要かどうか判断することができます。
ネットで「誰でもできるわが家の耐震診断」と調べるとヒットしますのでそちらで診断してみてください。
簡易診断で判定が9点以下の場合、専門家による②一般診断を受けることをおすすめします。
ただ、この簡易診断には地盤は考慮されていないため、地盤に不安がある場合は簡易診断の評価が10点以上でも一般診断を受けた方がいいですよ。
この診断では、壁などを剥がさずに地盤や基礎の状態、建物の形状、壁の配置や強度、劣化度を調べ、総合的に評価します。
この一般診断でも「問題あり」と診断結果が出た場合は、壁などを一部剥がして詳細な調査が必要になります。
これを③精密診断といいます。
精密診断の結果、耐震補強工事が必要と判断された場合は、④専門家と相談し合いながら耐震補強の方法を検討していきます。
住宅の状態があまりにも悪く、耐震補強をしても意味がない場合や、余計なコストがかかりすぎる場合は建て替えを検討することもあるようです。
実際にどのような耐震補強の方法が良いのか検討したら、次は⑤耐震補強の見積もり作成・検討を行っていきます。
どのような方法で、どれくらいまで工事をするのかによって金額は大きく変わってきます。
見積もりは1社だけでなく、2社以上依頼するようにし、工事後の耐震性・費用・工事期間などを十分に話し合いましょう。
見積もりの内容がしっかりと理解でき、満足のいく詳細であればあとは⑥契約をし、⑦工事開始になります。
5-2.耐震補強工事の工期は約10日〜1ヶ月
平均的な耐震補強工事の工事期間は、約10日です。
外壁の全面を張り替える、基礎を打ち直すといった大掛かりな工事は、約1ヶ月を目安とすると良いでしょう。
耐震補強の工事費用や工事期間は、工事内容によって大きく変わってきますので、まずは耐震診断(一般診断)を受け、見積もり提示時に費用や期間について詳しく相談すると良いですよ。
6.耐震補強の補助金
耐震補強の工事は、自治体によって補助金制度を利用することができます。
6-1.「札幌市木造住宅耐震改修工事等補助事業」
札幌市では、「札幌市の木造住宅耐震改修工事等補助事業」という補助制度があります。
木造住宅の耐震補助工事にかかる費用を補助してくれるものです。
令和4年度の申込開始はまだですが、前年度の内容で予習しておきましょう。
※補助の対象:札幌市木造住宅耐震診断員が行ったもののみ
6-1-1.対象者
①補助対象の住宅の所有者
②札幌市の市税を納付している人(滞納者不可)
③暴力団員及び、暴力関係従事者に該当しない方
6-1-2.対象住宅
①札幌市内にある木造住宅(長屋、共同住宅可)
②1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたもの
③柱を組み合わせて建てられたもの(在来軸組構法)
④地下階数3以下、木造部分の階数が2以下
⑤住宅部分の床面積が延べ面積の1/2以上
⑥耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満
⑦過去に補助金の交付を受けていないもの
⑧建築基準法第6条に定める建築基準関係規定に適合しているもの
6-1–3.補助対象となる事業と補助額
※上部構造評点:住宅の耐震性を数値で表したもの。 震度6〜7の地震に対し、建物が倒壊する可能性を判定するもの。
6-1-4.申込期間
令和3年4月1日〜令和3年9月30日まで
6-1-5.申込方法
申込方法は、申請書に必要事項を記入し必要書類と合わせて下記の窓口に提出します。
・札幌市役所本庁舎2階8番窓口
(住所:札幌市中央区北1条西2丁目)
6-2.「札幌市住宅エコリフォーム補助制度」
札幌市住宅エコリフォーム補助制度は、省エネ改修やバリアフリー改修の工事に対して、札幌市が工事費用の一部を補助するものです。
耐震工事を対象にしたものではありませんが、リフォームをする際に役に立つかもしれませんのでまとめてみました。
6-2-1.対象者
①補助対象の住宅を所有し、またはこれに居住している札幌市民
②札幌市の市税を納付している人(滞納者不可)
③暴力団員及び、暴力関係従事者に該当しない方
6-2-2.対象住宅
・札幌市内の住宅(戸建住宅、共同住宅の住戸部分)
※共同住宅の共用部分は補助対象外
6-2-3.補助対象となる事業と補助額
補助金額の上限:総工事費(税抜)の10%または一戸あたり50万円のいずれか少ない額
6-2-4.申込期間
第一回:令和3年5月6日〜5月19日
第二回:令和3年9月1日〜9月14日
※受付期間内に申請額を超えた場合は、抽選。予定額に達しなかった場合は、受付期間延長。
6-2-5.申込方法
・札幌市都市局市街地整備部住宅課
(住所:札幌市中央区北1条西2丁目札幌市役所本庁舎7階北側)
※原則郵送のみ
6-2-6.その他補助条件等
・補助金交付決定前に工事に着手している住宅は、補助対象外。
・申込件数が多い場合は、審査に2ヶ月程度の日数がかかる場合がある。
・補助金の交付は、同一住宅及び同一市民につき、年度ごとに1回限り。
・新築、建替、転売目的のリフォーム工事は補助対象外。
・建築基準法に適合しない住宅は補助対象外。
・同じ工事で複数の補助金申請は不可。
以上が札幌市で受けられる補助金です。
詳しくは、札幌市のホームページに記載されていますので、詳細等はそちらでご確認くださいね。
7.木造住宅の耐震補強をするには…
耐震補強工事や大掛かりなリフォームは一生のうちに何回もすることは滅多にないですよね。
だからこそ、安心して工事を任せられる会社に依頼したいと思っている人がほとんどなはずです。
見積もりは1社だけでなく、2社以上依頼することや費用だけでなく、担当者との相性やこちらの依頼をしっかりと聞いてくれるか、きちんとした知識があるかも合わせて依頼先を決めていきましょう。
7-1.リフォーム会社・業者の探し方
工事を依頼する上で、まずはリフォーム会社を探さなくてはなりません。
お住まいの地域でリフォーム会社と検索をかけると、大手企業から小さな街のリフォーム会社が出てくると思います。
大手の会社は大手ということもあり、信頼が高いと思いますが、金額面や融通が聞くのは意外と小さなリフォーム会社だったりします。
今ではネットで口コミを調べたり、実際に行った施工や工事の写真をみることができますよ。
7-2.おすすめのリフォーム会社
札幌市や札幌市近郊にお住まいで耐震補強の工事を検討している人におすすめな会社が、当ブログを運営している「太田建匠株式会社」です。
創業以来、30年ほど地域の数多くのお客様からリフォームなどの依頼をいただいております。
知識の豊富な営業部と丁寧な仕事が得意な工事部で構成されており、もちろん、一級建築士も在籍しております。
充実したアフターフォローも強みとしており、是非一度ご相談ください。
8.木造住宅の耐震補強のポイント4つ
・最適な耐震補強を行うことが大切!
・「費用」「工事方法」は、工事を行う会社によって大きく変わるため、
必ず相見積もりを依頼して比較することが大切!
・お住まいの自治体でどのような耐震補強工事の補助金があるか
事前に確認することが大切!
・新しい耐震基準で建てられた木造住宅でも、耐震対策が必要な場合がある!
9.まとめ
今回は、木造住宅の耐震補強について、
・木造住宅の耐震補強とは
・耐震補強が必要な住宅
・木造住宅の耐震補強の種類
・木造住宅の耐震補強の価格
・耐震補強工事の流れ
・木造住宅の耐震補強をするには…
・木造住宅の耐震補強のポイント4つ
以上をまとめてみました。
ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。
他にも住まいに役立つ情報をまとめていますので是非読んでみてくださいね!
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